山石イナエという人
イナエさん。
大学入学まえに、ああ、自分が行くところにはこんなにおしゃれでサイケデリック(イメージ)な女性がいるのか、と。
楽しみにした事を覚えている。
イナエさんは男だったし、そもそも女だ、なんて一言も言ってなかった。性別に関係なく一瞬で好きだな、と、おもった。
現状にフラストレーションを感じていて、脱却の糸口を探す日々は楽しかった。もちろん無駄の多い人生、それがいい。
僕が暴走期と呼んでいるある時期に、イナエさんは走り去っていった。目の前にあるものをなぎ払いながら。
紆余曲折経て、帰ってきたイナエさん。
違和感はあった。根っこではなく、幹が黒い。走り去っていったときのまま。
ただ昨日のイナエさんは、どこか、何かが吹っ切れたような。出会ったときのくしゃっと笑うイナエさんだったので、心の底から安心した。
あの時、駅で抱きつかなかったのは僕がエセ大人になったからか。ただアルコールがまだ足りていなかったからか。
無駄ともとれる時間をダラダラとあれもこれも吐露しながら過ごすこと、今でも好きですよ。
つぎは朝まで行きましょうか。
ほっとくん